あごがコキコキ、ジャリジャリ音がして、痛くて開きにくいー顎関節症とは

 最近あごの関節の不快症状を訴える方が多くなってきました。
その症状は様々です。
 例えば、あごが思い通り動かず、食べ物が噛みづらい。
あごを動かすとき、カックン(クリック音)、ギシギシ(クレプタス音)など不快な音がする。
あごの関節に痛みを感じ、口が開けにくい・・・・.etc。
 しかも症状はあごの関節ばかりでなく、肩こりとか、腕や指がしびれた感じがするとか、偏頭痛や、耳鳴りなどの耳や鼻に不快な症状を感じる人もいます。(これらの症状があれば全て顎関節症と言うわけではありません。詳しくは専門医にご相談下さい。)

あごの関節はちょうど(上あご)と(下あご)のような形をしていて、臼と杵の間に座布団のような柔らかい組織(関節円板)を介在した構造になっています。
ここには、筋肉と関節と神経が集中し、口の中のかみ合わせと連動しています。
しかも、 その下あごは頭や首や肩の筋肉に吊り下げられた、「ハンモック」のような形になっています。

この関節と、筋肉の調和が乱れると様々な症状が出てくるのです。

 症状の現れ方、程度など、個人差がかなり強いのも特徴です。
症状は多様で、(開口障害) 口が開かなくなったり、(関節雑音)開けるときに異音がしたり、(関節痛) 咬むときに関節に痛みがあるものや、力が入らず固いものが咬めない事や顎が外れやすくなってしまったりする場合もあります。

顎関節症をわかりやすく分類すると
○そもそも杵と臼の大きさがアンバランスな場合
○臼と杵と間の座布団の動きに不調和がある場合→コキコキ
○座布団が完全にずれてしまって臼と杵が直接接している場合→ジャリジャリ
○杵をつく人(筋肉やストレスなどのメンタル面)に問題がある場合
○そのコンビネーション
このように様々なあごの関節に関する不具合を症候群として、顎関節症と言います。

つづく

参考文献 新編咬合学事典
日本顎関節学会では顎関節症の疾病概念を、顎関節症とは顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節(雑)音、開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする慢性疾患群の総括的診断名であり、その病態には咀嚼筋障害、関節包、靭帯障害、関節円板障害、変形性関節症などが含まれていると定義(1997)している。

顎関節症についての補足1

顎の病気=顎関節症=咬みあわせの病気、という具合に理解されている方が多いと思います。

 顎関節症の定義があいまいなのですが、顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節雑音、開口障害ないし運動障害が認められれば、顎関節症の可能性が高いと思われますが、同様の症状でも区別を要する病気も存在します。

例えば、
三叉神経痛や、ディスキネジア、身体表現性障害などの感覚神経に問題がある場合、
顎関節リュウマチ、外傷性顎関節炎、術後瘢痕拘縮、腫瘍など関節とその周囲の組織に問題がある場合、
筋突起過長症、咀嚼筋腱腱膜過形成症など、関節部分や周囲のパーツの大きさや強さに問題がある場合、
様々な顎関節症と区別が必要な病気が考えられます。

咬みあわせなど、お口の中に原因があり、歯科医がかみ合わせの治療を行うことで改善することが多いのですが、まず、これらの病気でないことを十分精査して、噛み合わせなど、お口の中の治療にとりかかられた方がよいのではないかと思います。
 かみ合わせが原因であれば、住人のような歯科医の出番ですし、咬みあわせを治療すれば、症状が改善することは十分考えられますが、上記のような病気が原因であれば、当然、咬みあわせだけを治療しても症状は改善しません。

京都 大原

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